テレビショッピング番組で墓のセールス。あなたは購入を即断できますか? 東京都内の墓石企画・販売会社が旧盆を前に、業界初とみられるBS放送のテレビショッピングを利用した墓石販売を始めた。68万円の墓石・墓地に、全国から購入申し込みがあるという。多様化する家族形態に合わせたセールスを考えた試みに、市場が好反応を示したようだ。 企画したのはジョウコウ(東京都千代田区)。「BS-i」で6日午前6時45分から15分間、放映した。 番組は俳優らがドラマ仕立てで墓の紹介をしたあと、フリーダイヤルの案内が流れ、申し込みを受ける構成。墓は横浜・白楽に造営された屋内型墓地。最近、都心に増えている立体駐車場型に設置されている墓地が、暗証番号を押すことで目の前に現れる型式だ。商品が墓地であること以外は、通常目にする衣類や装飾品のテレビショッピング同様の番組構成になっている。
5、6日の午前8時からは「BS-Fuji」でも、フリーダイヤルを紹介した30秒CMも流した。 15分番組は1回だったが、6日に契約した15人のうち少なくとも8人が番組を見て即日購入を決断。うち、2人は実物を見ることなく契約した。 通常、墓地販売は周辺の地域にチラシを配り、現地に足を運んでもらって契約するのが手順。「実物を見て、業者の説明を受け、納得してから」というのが業者にも消費者にも共通認識としてあるからだ。BSを使ったテレビショッピングでは、全国に情報が行き渡るうえに、購入の即断を迫られるのが特徴。 ジョウコウの高瀬秀樹社長は「両親が地方に住み、子供は都会で生計を立てている家は多い。誰も来ない墓地を地方で買うよりも、子供の近くに求めたいと考える人に訴えるのに、BSのメリットを見いだした。」と話す。「営業マンの説明なしで、契約に結びつけられるという点でも、墓石業界にとって画期的」という。実際に、契約した1人は中国地方の人だった。 番組制作費まで含めると1回の放映では採算はとれないが、1回の放映権料だけを考えると十分採算がとれたという。売りに出された墓地は計1000基以上あり、9月になってから、秋の彼岸を前に放映回数を増やす計画という。(赤堀正卓)